平成8年度 2012/01/04UP


草取りの手休めたり梅一輪
春待たずいじめ自殺のラジオ聞く
乾杯の声はじけあうビール園
しょかっ菜風に吹かれて散り急ぐ
棚越えてとなりのぞきし忍冬花
風受けて癌病棟に泳ぐ鯉
十薬の花待ちわびてかりとりぬ
山野草腰をかがめてめでにけり
喪服着し伶人一人青葉陰
夏姿ボタンはじけてダイエット
にが瓜の苗を写して夏を待つ
散歩して蜜柑の花に二度会えり
夏木立雨はきらりとひかりたる
玉葱の山と積まれて田水はる
蚊柱や線香たいて句会待つ
豪雨予報待ちたる吟行流したり
ごきぶりを殺す形相すさまじく
あの夏に一人で生きよと遺言し亡夫
あじさいや不倫も恋も歌の中
日傘さし向こうから来る女たんぼ道
田の畔を燃やして咲し彼岸花
貴婦人が現れそうな避暑地かな
鉢の笹ねじれてすぼむ大暑かな
夏雲にのって帰るかお盆には
蝉時雨休みのありて真昼時
この地球に平和祈りて原爆忌
捨て猫やか弱き啼き声秋近し
睡蓮の花を横目に孫と会う
時雨るるや厨の窓に耳澄ます
残り蠅殺すに惜しき日和なり
帰り花誰に見せるや紅き色
菊日和茶会の庭に友の笑顔
朝霧に浮かぶ椎葉や燃ゆる秋
高原に織りなす錦丘の秋
秋晴れやトーマス待つ子いきいきと
取り入れの音もさやかにコンバイン