娘は今年で７歳になります。 ８年前、ちょうど身ごもって一ヶ月も経たない頃、（つまりその事実を誰も知らない頃） 夢を見ました。 地獄の夢でした。 そこはどんな所だと思いますか？鬼達に責めさいなまれる阿鼻叫喚の世界？ 私の夢に登場したのは不思議な地獄でした。 全面鏡貼りの部屋に入ったことがあるとよくわかるでしょうか。自分の姿が上下左右どこまでも続いているでしょう。地獄は、道や階段だらけでした。入り組みながらどこまでも続く道を、たくさんの老若男女が歩いていました。灼熱や、鬼の責め苦の代わりに課せられているのは、何の意味もなく永遠に歩き続けること。出口のない世界、それが地獄でした。 あきらめたような顔をして歩き続ける人々の中に、髪の長い１７歳ぐらいの少女がいました。その子は他のみんなとは違いました。「生まれ変わりたい！ここから抜け出して、生まれ変わるんだ、そのためなら何だってやってやる！」その強い生への執着がどこからくるのか、「１７歳で死なねばならなかった」とだけ彼女は答えました。 夢ですから、そこからがおかしいのですが。 彼女はみんなが嫌がるトイレの掃除をかってでて、一生懸命にやって認められ、観音様に願いを伝えることができました。 目が覚めてから、私は主人に「子供が生まれるかもしれない、きっと女の子」と告げたのでした。 この話は、我が家の神話となりました。 娘がおしゃべりができるようになるとすぐに、主人は「おまえは誰の生まれ変わりなんだ？」と聞いたものです。もちろん不思議そうな顔をして「それなあに？」と言われていましたが。