平成10年度 2012/01/04UP


ブロックのすき間に出づる野蒜かな
春潮の香りし貝をすすりたる
あの街に夜風がゆらす麻のれん
金銀の花をつけたり忍冬
母の忌や間じかとなりぬスイトピー
樹の緑日増しに色の深まりぬ
悠久の時を数えて楠若葉
庭の梅三十五粒の尻をふく
大濠の川面を染める花火かな
下草を刈りて茶摘みの人を待つ
梅雨茸は今年も同じ場所に立つ
家中をラッキョの香させており
田水はる隣は造成土を盛る
新じゃがの不揃いなれど膳飾る
枇杷酒にありし日偲び少し酔う
夏みかん香り我が手に移りたる
麦の秋夫と歩きし日の遠く
永遠の旅百日草の赤哀し
樹の陰にひそかに赤し藪棋子