平成13年度 2012/01/04UP


夕焼けを見つめる翁の長寿眉
鈴虫や先客ありし奥座敷
酷暑です草取りの手のしわ深く
絵手紙のトマトの色を探しけり
玄界の夏に染まりて魚を食む
植田すみ田の底より雲のわく
孫と来し金魚今朝は動かざり
手作りの胡瓜届きて塩でもむ
新聞を読み終わりたる薄暑かな
みどり児の乳の匂いや風薫る
更衣え亡き夫のシャツ肩に掛け
竹落葉母校の庭に並びたり
レタス畑同じ色せし雨蛙
梅青葉今朝はひとしお濃くなりて
月見草きおらに咲きて月おぼろ
豌豆の炊き上がりたる香かな
夕暮れや青きパセリをみじん切り
土の香も雲の動きも春を告げ
蛸壺を鉢植えとして黄水仙
白木蓮白く疲れて女優逝く
雨の後木の芽吹き出し空青く
この春に七坂越えし燭点す
寒鯉の三度来たりて餌をとらえ
廃屋に水仙のみがキット咲く
まなうらに故郷ありて黄水仙
猫見ればみな恋猫に見えており
むかご飯女ばかりの山の寺
布団干す夢の続きが見たくなり