Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第1夜」
「冒険の始まり」

 あるところに、Uちゃんという女の子が、お父さんとお母さんと一緒に暮らしていました。

 ある日、Uちゃんは突然どこか遠くへ行きたくなりました。そう、冒険がしてみたくなったのです。

 お父さんに相談すると、
「これをUちゃんにあげよう」
と言って、背中にかける大人用のリュックサックを出してくれました。
お母さんに相談すると、
「冒険にはこれが一番よ」
と言って、たーくさんのおにぎりをあっという間に作ってくれました。

 「こんなにたくさん食べきれないよ」
「Uちゃんだけが食べる分じゃないの。
冒険の仲間になってくれたみんなに分けてあげなさいね。」
「はいっ!」
元気のいい返事です。
おにぎりをリュックサックに入れると、とっても重たくなりました。
背負うと、まだ小さいUちゃんは、ひっくりかえりそうに見えます。
「おにぎりがなくなった頃、帰っておいで。」
「はいっ、行ってきます!」

 こうしてUちゃんは、
お父さんとお母さんが玄関で、
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
と手をふる中、冒険へ飛び出していきました。