Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第2夜」
「初めての仲間」

 いいお天気の朝でした。
「どこへ行こう?」
実はUちゃんはまだ決めていませんでした。
「そうだ、とにかく山に登ろう。その方が冒険らしいもん。」

 家の前の道を、裏山の方へ歩き出しました。この道は車もたくさん通るので、舗装されていて歩きやすいのです。まるで、ピクニックのように思えてきました。
それでも、どんどん登っていくうちに景色が変わりはじめ、あたりは樹で暗くなってきました。道も狭くなってきて、車がようやく一台通れるかぐらいの幅になってきます。

 どのくらい登ったのでしょう?Uちゃんはおなかがへっているのに気がつきました。たぶん、そろそろお昼時なのです。
お母さんの作ってくれたおにぎり!
こんなに歩いたから、きっといつもよりずっとおいしいはずです。
下ろしたリュックサックから、おかかと梅ぼしの二つのおにぎりを取り出すと、
「いっただっきま〜す!」
と元気よく言いました。

 「おいしそうだねぇ」
小さな声がします。
どこ?だれ?急いで見渡しても、誰もいません。
「あ〜ん」と大きな口を開けると、また、
「僕にも分けてよ」
「どこにいるの、だれ?」
「下だよ、 君のリュックの所。ふたの所だよ。見えた?」
そこにいたのは小さなアリさんでした。
「僕は梅干しよりおかかがいいな。」
「あげるよ、冒険の仲間になってくれるなら。」
「それどっかで聞いた話だな。冒険?何の?」
「Uちゃんの!」
「君の名前はUちゃんというのかい。いいよ、おにぎりくれるなら。」
こうして一番最初にアリさんが仲間になりました。

 アリさんは山の事には詳しいらしく、
「もっと登るんなら、杖がいるよ。どこか道ばたの林で探すといい」
と教えてくれました。道を少し外れて林の中にはいると
「君の手にちょうどいいのを選ぶんだよ。
そこに落ちてるのなんかどう?」