Uちゃんの冒険 2004/01/07UP


「第32夜」
「それから」

 夕ごはんは、Uちゃんの大好きなものばかり。
お母さんは、
「Uちゃんのごはんを作ってあげられなくて、さびしかったのよ。」
と言いながら、たくさんのごちそうをテーブルに並べてくれました。
「お母さんの作ったごはんが一番おいしいね。」
「そう? ありがとう」
「おにぎりもとってもおいしかったよ。
アリさんもカバさんも、みんなおにぎりが大好きだったの。」

 「どんな冒険をしてきたんだい?」
と、お父さんが聞きました。
「えーっと、まず裏山でアリさんに会ったの。それからね・・・」
Uちゃんは、いろんな仲間にあったこと、みんなで力を合わせてイカダを作ったこと、
生まれて初めて海を見たこと、そして不思議な湖のこと、長い長い話をしました。
お父さんとお母さんは、にこにこしながらうれしそうに聞いています。
「それから、えっとね・・・」
思い出すように、Uちゃんは目をとじました。
すると、そのまますーすーっと眠ってしまったのです。

 「いっぱい冒険をして、いっぱい疲れたんだね。」
お父さんはよいしょとUちゃんをかかえると、あたたかいベッドに連れていってくれました。
「ゆっくりおやすみなさい、Uちゃん。」
お母さんは、髪をなでながら言いました。

 家の外ではネズミさんたちが集まっていました。
「いつ出発する?」
「僕たちはすぐ出かけられるけど、Uちゃんは帰ったばかりだ。もう少し待とう。」
「一緒に行ってくれるかな?」
「心配しなくても、行くに決まってる。あの子はもう、りっぱな冒険家なんだから。」
「きっと喜ぶよね、次は船に乗って冒険だもの。」
「うん、きっとね」

 次の冒険が始まるのはいつでしょう。
それまで、Uちゃんゆっくりおやすみなさい。