「第32夜」
「それから」
夕ごはんは、Uちゃんの大好きなものばかり。
お母さんは、
「Uちゃんのごはんを作ってあげられなくて、さびしかったのよ。」
と言いながら、たくさんのごちそうをテーブルに並べてくれました。
「お母さんの作ったごはんが一番おいしいね。」
「そう? ありがとう」
「おにぎりもとってもおいしかったよ。
アリさんもカバさんも、みんなおにぎりが大好きだったの。」
「どんな冒険をしてきたんだい?」
と、お父さんが聞きました。
「えーっと、まず裏山でアリさんに会ったの。それからね・・・」
Uちゃんは、いろんな仲間にあったこと、みんなで力を合わせてイカダを作ったこと、
生まれて初めて海を見たこと、そして不思議な湖のこと、長い長い話をしました。
お父さんとお母さんは、にこにこしながらうれしそうに聞いています。
「それから、えっとね・・・」
思い出すように、Uちゃんは目をとじました。
すると、そのまますーすーっと眠ってしまったのです。
「いっぱい冒険をして、いっぱい疲れたんだね。」
お父さんはよいしょとUちゃんをかかえると、あたたかいベッドに連れていってくれました。
「ゆっくりおやすみなさい、Uちゃん。」
お母さんは、髪をなでながら言いました。
家の外ではネズミさんたちが集まっていました。
「いつ出発する?」
「僕たちはすぐ出かけられるけど、Uちゃんは帰ったばかりだ。もう少し待とう。」
「一緒に行ってくれるかな?」
「心配しなくても、行くに決まってる。あの子はもう、りっぱな冒険家なんだから。」
「きっと喜ぶよね、次は船に乗って冒険だもの。」
「うん、きっとね」
次の冒険が始まるのはいつでしょう。
それまで、Uちゃんゆっくりおやすみなさい。
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