Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第6夜」
「いかだを作ろう」

 山の朝は早いのです。
お日様が昇るずっと前から、みんなは起きていました。Uちゃんが起きたのは、一番最後でした。
「おはよう!」
みんなに大きな声であいさつして、今日のUちゃんはすっかり元気です。
「よく眠れた?」
「うん!カバさんのおなか、あったかかったよ」
「それはよかったね。」
Uちゃんが元気なので、みんなはほっとしました。
もう冒険はやめたって言い出すかもしれないね、とみんなで話していたのです。

 これからは川に沿って山を下りていくことになりました。
山の中より川沿いの道は飲み水があるし、なにより道に迷いません。。
朝のおにぎりをみんなで食べて出発しました。
しばらく歩くと、川はだんだん広がってきました。

 カバさんは言いました。
「これだけの川なら、いかだで行った方が何倍も早いな。みんなで作らないか?」
「いかだ!作ってみたい!どうやって作るの?」
「まず、何本も木を拾ってきて固くひもかつるで結ぶんだ。
よくしばらないと、乗ってるときにほどけてきたら大変だからね。」

 Uちゃんはがんばりました。
近くの林で落ちている木の枝を何本もはこび、
木に巻き付いているつるもはがしていきます。
カバさんはそれを河原に口でくわえて持っていきました。

 アリさんとイモ虫さん?こんな時にはリュックの中から応援団です。
「がんばれ〜カバさん、がんばれ〜Uちゃん。」

 応援していたイモ虫さんは、川の中からぴょこんと出た顔にふと気がつきました。
「誰かいる!」
「あのね、何してるんだろうと思ったんだよ。
僕の名前はカワウソさ。ところで、何か作ってるの?」
いかだと知ると、カワウソさんはいそいそと川から出てきました。
「それなら、僕にまかせてよ。得意なんだ。」
カバさんも、
「まかせていいと思うよ、仲間になってもらったら?」
と言うので、4番目の仲間が決まりました。