Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第10夜」
「どこにいるの?」

 おにぎりを食べ終わると、みんなは立ち上がって歩き始めました。
シロツメクサや、カタバミが芽吹き始めた野原は、
歩くとふかふかのお布団のようで、とても気持ちいいのです。
 Uちゃんは、「春が来た」を歌い出しました。ほら、あの「どこにきた〜」という歌ですよ。Uちゃんが歌うと、みんなも歌いました。

 「〜が来た〜」「きゅっ」
「野にも〜来たぁ〜」「きゅっ」
「誰だい、変な声を出すのは」
「違うよ、カワウソさん。ぼくらじゃない。だれか、いるんだ。」
「どこにいるんだろ」
「さがそう!」

 みんなは、草の中、川の中を「お〜い、出ておいでー」と声をかけながら、さがしました。

 カバさんが川岸の草むらから、小さな声がするのに気がつきました。
「みんなここだよ」
みんなはそっとのぞき込み
「カワウソさんに、そっくり!」
「似てるって?ちがう、この子はカワウソじゃない。」
「君、だれ?どこから来たの?」
「僕は、アザラシなの。海でみんなとはぐれて、ここに来ちゃった。」
Uちゃんは、もちろんこう言いましたよ。
「おなか空いたでしょ、おにぎりをどうぞ。」

 アザラシ君は、お母さんたちと会うまで、みんなと一緒に旅をする事になりました。
5番目の仲間は、こうして加わりました。