Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第12夜」
「目的地を決めたよ」

 「僕が代わりに見てあげよう。」
空の上にいたのは、真っ白なカモメさんでした。
すうっと優雅におりてくると、カモメさんはUちゃんにあいさつしました。

 「やあ、君が隊長か。遠くが見えたらって言ってたのは君だろ。」
「隊長じゃなくて、Uちゃんです。見えるの?」
「高いところまで飛んだら、ずっと遠くまで見えるよ。」
「あのね、どこかに不思議なところはないかなあ。」
「不思議なところか。
他から来たカモメに聞いたけど、ここから北にしばらく行くと、
海の水と川の水が混じり合う不思議な湖があるらしい。」
「不思議な湖!そこよ。決めた、目的地決定!」

 あんまり大声で言ったので、
波打ちぎわで遊んでいたカバさんたちは、
おどろいてUちゃんの所へ集まりました。
「何?どうしたの」
「冒険の目的地を決めたの。私たちは不思議な湖へ行くよ。」
「遠いの?」
「僕なら、半日飛べば着くよ。」
「そりゃ、君は鳥だもの。みんなの足だともっとかかると思う。」
「面白そうだな。」
「よし、行こう。」
「じゃ、みんな賛成なのね。」
「さんせ〜い!」

 そうしているうちに、お日様がゆっくりとオレンジ色になり、
やがて真っ赤になりました。
みんなで、あわてておにぎりを食べると、もう夜が近づいてきました。
「とにかく、出発は明日。今日はこの海岸で寝るからね。」
「あっ、Uちゃん。砂浜はだめだよ。寝ている間に海にさらわれるぞ。」
「はい。草の所ならいいね。」
「うん、今夜は海の近くで風が冷たいから、僕のそばで眠るといい。」
「ありがとう、カバさん。」

 その夜、Uちゃんは「不思議な湖」の夢を見ました。
さあ、どんな不思議が待っているのでしょうね。