Uちゃんの冒険 | 2003/08/10UP |
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「第23夜」 「空の向こうから」 砂浜に座ってUちゃんたちは、カモメさんの帰りを待ちました。 でも一時間ぐらいたっても、帰ってきません。 じっと待っているのにはあきたので、砂浜を掘って川を作ってみたり、砂のお城まで作りました。カバさんは手伝おうとしては、ついつい踏みつぶしてしまうので、何度も作り直しました。 遊んでいるうちにだんだん涼しくなってきて、もう夕方です。 まだ、カモメさんは帰ってきません。 「いったいどこへ行ったのかな。」 「さあ、何を考えてたのかね。」 のんびりしていたカバさんも、ちょっと心配そうな顔をしています。 お日様はもう赤くなって、そろそろ海の向こうへ行ってしまいそうです。 Uちゃんは、どこかにカモメさんの姿が見えないかと、背伸びをして空を見ています。 Uちゃんの見ていた赤い空の向こうに小さな黒い点が見えました。 見ているうちにどんどん大きくなります。そして聞こえてきました。 たくさんの鳴き声、本当にたくさんの。 やがて、それが空一杯に広がって飛んでくる鳥たちの声だとわかったときには、 Uちゃんはびっくりしてぽかんと口を開けていました。 鳥たちは全部で200羽ぐらいいました。 Uちゃんの回りにぐるりと舞い降りてきました。 その輪の中からカモメさんが歩き出て、Uちゃんに言いました。 「びっくりした?僕もこんなに集まってくれるとは思わなかった。 Uちゃんを山の上に運ぶなら、僕たちが集まれば何とかなるんじゃないかと思ったんだよ。だから、出来るだけたくさんのカモメ仲間に声をかけて、仲間達がまたいろんな鳥たちに声をかけたのさ。そうしたら、こんなに集まったんだ。」 「私は、北の山から来た。 君たちが行った不思議な湖のもっとずっと北にある雪の山から。」 こう言ったのは、大きな黒いワシでした。 「私たちはUちゃんの家のすぐそばに住んでるの。」 さわがしく話すのは、小さなスズメたちです。 他にも、たくさんの鳥たちがUちゃんにあいさつしました。 中には、渡ってきたばかりのツバメたちもいました。 「ありがとう!」 Uちゃんは、鳥たちに向かって何度もそう言いました。 「さあ、今日はもう遅い。 みんな、遠いところから飛んできて疲れていると思うから、話は明日だ。 もう、寝よう。」 カモメさんがこう言って、みんなはすぐに眠りました。 でも、Uちゃんは200羽の鳥に囲まれるなんて、 そんなすてきなことは初めてだったので、なかなか眠れませんでした。 |