Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第24夜」
「かごを作る」

 次の日の朝は、鳥たちのあいさつする声で目が覚めました。
みんなはとっても早起きなので、Uちゃんもいつもよりずっと早く起きました。
「おはよう!」
「やあ、Uちゃんおはよう。」
「ねぇ、どうやってのぼらせてくれるの?今日は教えてくれるんでしょ。」
「気になるだろうね。よし、そろそろみんなにも、僕の考えたことを説明しよう。」
カモメさんはそう言って、鳥たちを集めました。

 「聞いてくれ。Uちゃんを山の上に運ぶには、まず、枝でかごを作る。そこにUちゃんを乗せて、かごに通したつるを僕らが口にくわえて飛ぶんだ。
これだけたくさんの仲間がいるならきっと出来る。
どうだい、やってみてくれるかい?」
「おもしろそうじゃないか。鳥の力で人間を運ぶなんて。」
「力を合わせれば、きっと出来るよ。やってみよう。」
みんな賛成でした。
 Uちゃんは、自分が空を飛んでいくとは思っていなかったので、びっくりしました。
いったいどんな感じでしょう、鳥たちと飛ぶのは。
「わ〜い、早くやろう!」

 Uちゃんとカバさんは、一緒に枝を集めました。Uちゃんがひろって、カバさんが口にくわえます。こうやると、たくさんの枝がいっぺんに運べました。アリさんとイモ虫さんは、カバさんの頭の上で応援をしました。

 木の枝は重かったので、つるの方をカワウソさんと鳥たちは集めました。
カワウソさんが上手に歯でつるをはがし、鳥たちが運びます。
枝で巣を作るのが上手な、大きな鳥たちがかごを組みました。
まん中が少しくぼんだ、丸いかごです。

 「次は、僕らの出番だ。」
小さな鳥たちが、これからつるを通すのです。
組まれた枝の間をすいすいと上手につるを口にくわえて、編んでいきます。
どうしても通らないところは、アリさんがかつやくしました。
近くのアリの巣の仲間と、つるを運びました。

 「Uちゃん、座ってごらん。」
でも見るのとでは大違いでした。枝のとがった先や、ごつごつしたこぶがおしりにあたって、とても座っていられません。
「それなら、草をしこう。今度は草集めだ。」

 海岸近くは、たくさんの草が生えていました。やわらかい草が多くて、底にしくにはぴったりです。これは、カバさんにかなうものはいません。
カバさんは大きな口をガバッとあけると、バクッバクッ、草をむしり取っていきます。
でも、あまりおいしそうな草なので、ときどきカバさんの口の中へ消えていきました。
「もうこれ以上食べちゃだめ〜」
「ごめんごめん。」
それでも、ようやく草はたっぷりしかれました。
「もう一度座ってごらん。」
Uちゃんがおそるおそる座ってみると、まるでクッションのようでした。
それに草のいい香りがして、クッションよりもずっと上等です。

 「よーし、出来た。」