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Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第26夜」
「山の中へ」

 Uちゃんたちは、空の旅にもなれてきました。
アリさんとイモ虫さんは、こわがってリュックの中からしばらく出てこなかったのですが、Uちゃんがすすめたので、少し外を見てみることにしました。

 「うわ~。こんなに高いところ初めてだ。」
「見て見て、川があんなに小さく見える。」
アリさんはあんまり身を乗り出して、Uちゃんに止められました。
「くぅ~、すごい風だね。」
「飛ぶって、風と一緒になるってことかな。」

 「そろそろ、山に着くよ。」
カモメさんが言うまで、みんなは思いきり風を楽しみました。
鳥たちは山の上まで来ると、かごを優しく下ろしてくれました。
「ありがとう!」
Uちゃんは、まわりに降りてきた200羽の鳥たちに言いました。
みんな力仕事をした後なので疲れていましたが、それでもうれしそうな顔をしていました。
「どういたしまして。」
「力を合わせてUちゃんを運べたのが、うれしいよ。」
今までずっとつるをくわえていたので、みんなは水を飲みに行きました。
Uちゃんは、カバさんたちを川の近くで待ちました。

 「まだかな。」
「もうすぐ着くよ。さっき飛んだときに見た。でも、カバさんはいなかったよ。」
「えっ、いるはずだよ。」
「カバさんは大きいから間違うわけない。いなかったよ。」
「どうしてだろう。」
「もうすぐカワウソさんが来るから、聞こう。」
カワウソさんはそれから少しして、川から上がってきました。
「カバさんは?」
「歩きにくいからって山の道に別れたんだ。もうすぐ着くだろう。」

 でも、お日様が空の真上から少しずつ低くなるのに、まだカバさんは来ません。もうすぐ夕方です。
「きっと、迷子になったんだ。」
「暗くなってきたら、もっとわからなくなる。誰かがさがしに行かなくちゃ。」
「私が行く。カワウソさんが山歩きすると、大事なしっぽが傷だらけになるよ。」
アリさんも行きたかったのですが、イモ虫さんのからだの具合が悪くなってきたので一緒にいることにしました。鳥たちは夜になると目が見えなくなるので、
それぞれの家に帰っていきました。

 「気をつけて。早く帰ってきて。」
「行ってきます。イモ虫さんをよろしく。」
Uちゃんは、山の森を降りていきました。