Uちゃんの冒険 2003/08/05UP

「第4夜」
「いつ食べるの」

 「まだかな?」
と言ったのは、食いしん坊のアリさんです。
「晩ご飯には早すぎるよ。」
「だって、Uちゃんがいつも晩ご飯を食べている時間だと、この辺は真っ暗だよ。
おにぎりも見えなくなっちゃうよ。」
「電気つければいいよ。」
 アリさんとイモ虫さんは、おやおやと言う顔をしています。
Uちゃんは外でご飯を食べた事がありません。
夜がどんなに暗いのか、まだ知りません。
「ここに、電気はないんだよ。テレビも、電話も、冷蔵庫もないの。」
「夜は何して遊ぶの?」
「夜はね、寝るもんだよ。朝はお日様と一緒に起きて、夜はお日様が沈んだら、寝るの。」
「へぇ〜」
「そういうのが、冒険なんだよ。冒険はまず、たくさん歩く事から始まるの。」
アリさんたちは代わる代わるUちゃんに教えてあげました。

 「じゃあ、晩ご飯にしようか。」
今度はUちゃんも、賛成しました。
石ころだらけの川辺で、リュックを囲んで座りました。
歩かなかった2匹は、一つのおにぎりを半分コ。
「いただきま〜す!」
「おいしそうだね」
と川岸の林をのそのそと現れたのは、なんとおお〜きなカバさんでした。

 もちろん、Uちゃんはおにぎりをあげて、カバさんは3番目の仲間になりましたよ。