Uちゃんの冒険 2003/08/11UP

「第5夜」
「夜ってどんなもの」

 「カバさんってホントに大きいんだねぇー」
アリさんとイモ虫さんは、うーんと背伸びをして見上げました。
「空が半分見えないよ。」
Uちゃんも、動物園で遠くから見た時とは、ずいぶんちがうなぁ、と思いました。
「雨が降ったときには、僕のおなかの下に隠れるといいよ。雨やどりできる。」
「わー、やってみたーい!」

 みんなが話しているうちに、カラスたちが「帰ろう帰ろう」と鳴いて空を飛んでいきました。空は真っ赤になっています。Uちゃんが冒険に出て初めての夜が来ます。

 「そろそろおやすみの時間だね。」
「おふとんはどこ?」
「おふとんはないんだよ。草むらか、木の上で寝るんだ。」
Uちゃんは、泣きそうな顔をしています。
お父さんもお母さんも、テレビもお風呂も、おふとんさえ、ないなんて。
「今日は、初めてだから僕のおなかにもたれて寝るといいよ。」
「いいの?」
「いいよ。さあ、顔を洗っておいで。」

 Uちゃんはカバさんのおなかにもたれると、疲れていたのか、すぐに眠ってしまいました。
 空には、きれいな星が出ています。
きっとUちゃんの家でも、お父さんお母さんが星を見上げながら、
「Uちゃんはどこで眠っているのかな」と思っている事でしょう。
それでは、みんなおやすみなさい。